Emacs-Tuitate Manual

奥地 秀則


このマニュアルは、Emacs-Tuitate version 4.0について説明しています。


概要

Emacs-Tuitateは、ついたて将棋のEmacsクライアントです。

ついたて将棋は、サーバ・クライアントモデルに従って設計されています。 ついたて将棋のサーバは、`tuitated'と呼ばれ、 各種Un*xクローン上で動作します。 それに対して、クライアント側は、ネットワーク上の規約さえ守れば、 どんなプラットフォームでも、どんな言語で書かれていても構いません。 そのため、実際いくつかのクライアントソフトが作成されており、 現在、このEmacsクライアントを初めとして、 Xクライアント、Javaクライアント、Windowsクライアント、 AIクライアントなどがあります(このうち、いくつかは開発中です)。

Emacs-Tuitateは、GNU Emacs、および、 それを多国語化したMule上で動作するように設計されています。 現在はまだサポートしていませんが、 XEmacs上への移植 も考えています。

表示は基本的に全て英語を用います。 初めは戸惑うかもしれませんが、慣れれば、大したことはありません。 使われる英語の表記とその意味に関しては、 用語集 を御覧ください。


始め方

まず、.emacsに最低限、次のコードを追加してください。


(autoload 'tuitate nil t)
(autoload 'tuitate-view nil t)
(autoload 'tuitate-notation nil t)

もし、パスの通っていないディレクトリにインストールした場合、 次のコードも必要でしょう。


(setq load-path (append load-path '("install-dir")))

また、ついたて将棋のサーバがネットワーク上のマシンで運用されているなら、 次のコードも書きましょう。


(setq tuitate-server "server host")

実際に書き込むときは、自分の環境に合わせて、適宜書き換えてください。


対戦方法

まず、


M-x tuitate

としましょう。上手く行きましたか? 上手く行かない場合、 ついたて将棋のサーバの動いているマシンが別のマシンなのかもしれません。 サーバが別のマシンで動いているなら、

C-u M-x tuitate

としてみましょう。ミニバッファにホスト名を入力してください。 これでもダメなら、多分、サーバが上手く動いていないのでしょう。 `tuitated'のマニュアルを読んで、もう一度試してください。

相手の選択

最初の行に、現在登録している人数が表示されます。 全くいなければ、誰かに声をかけて相手をさせましょう。 情報を更新するには、`l'を使います。 連打して、コンピュータをいじめないように気を付けましょう。

相手がいると、リストが表示されます。カーソルが左に表示されていますね。 現在カーソルのある行が選択しようとする相手です。 `n'で下に、`p'で上に移動します。 また、`<'で一番上に、`>'で一番下に移動します。

適当に(いい加減に、ではありません)相手を選んだら、`SPC'を押しましょう。 相手に挑戦のメッセージが届きます。 相手が返事をするまで、焦らずに待ちましょう。 もし、相手がいなくなったり、他の選手と交渉中だったりすると、 エコー領域にその旨のメッセージが表示されますので、改めて、相手を選びましょう。

何らかの理由で、相手があなたの挑戦を断るかもしれません。 そのときには、怒らずに、他の気のいい相手を探してください。 相手が了承すると、ゲームに移ります。

ときには、誰かから、挑戦のメッセージが届くことがあるでしょう。 そのときには、`y'か`n'で返答します。 なるべく、`y'を押してあげましょうね。

やめたいときには、`q'を押してください。

ちなみに、`V'でバージョンを表示します。

対戦

上の方にいくつかの重要な情報が表示されています。 右側があなたで、左側が相手です。 モードラインの右の方には、何手目であるかが表示されています。

その下には、盤と持駒が表示されています。 持駒の横に書かれている数字はその駒を持っている数です。 表示されているアルファベットが分からない人は、 用語集 を御覧ください。

操作は簡単です。 `f'で右に、`b'で左に、`n'で下に、`p'で上にそれぞれ移動します。 また、`a'で盤の一番左に、`e'で盤の一番右に移動し、 `<'で盤の左上に、`>'で盤の右下に瞬間移動できます。 数字を使うと、その桁へ移動します。 `C-c数字'とすると、その行に移動します。 0だけは例外で、自玉の位置に移動します。

他にも、`TAB'を使うと、選択可能な位置に進めることができます。 また、`M-TAB'で、逆方向に進めることもできます。 後は、`SPC'で選択すればいいだけです。

Emacsでは、エコー領域に表示されたメッセージは簡単に消えてしまうので、 `.'が用意されています。 `.'を押すと、最後に表示されたメッセージが再び表示されます。

選んだ駒をやめたいときは、`g'を押します。 また、`TAB'では、盤上の駒にしか移動しないので、 持駒を打ちたいときは`w'を使ってください。 これを使うと、駒の名前を訊かれますので、 それを入力すると、現在のカーソル位置に駒を打つことができます。 名前を入力するときには、補完も利きますので、 タイピング量を減らすことができます。

画面表示が乱れたときには、`l'を押してください。 これで、画面を書き直します。 書き直した後、カーソルはあなたの玉の上に置かれます。

勝てる見込みがなくなったときには、投了することができます。 `q'を押すと、投了するかどうか訊かれるので、`y'か`n'で答えてください。

特別な理由で、無理矢理やめたいときには、`Q'を使います。 強制終了してしまうので、なるべく使わないでください。

相手の情報が欲しいときは、`v'を使います。 Emacs-Tuitateのバージョンを知りたいときは、`V'を使います。


感想戦

対局が終了すると、棋譜を見るかどうか尋ねられるので、`y'か'n'で答えます。 `y'を押すと、自動的に棋譜閲覧モードに移行します。 棋譜の見方のついては、閲覧方法を参照してください。


観戦方法

まず、


M-x tuitate-view

としましょう。上手く行きましたか? 上手く行かない場合、 ついたて将棋のサーバの動いているマシンが別のマシンなのかもしれません。 サーバが別のマシンで動いているなら、

C-u M-x tuitate-view

としてみましょう。ミニバッファにホスト名を入力してください。 これでもダメなら、多分、サーバが上手く動いていないのでしょう。 `tuitated'のマニュアルを読んで、もう一度試してください。

ゲームの選択

最初の行に、現在対戦中のゲームの数が表示されます。 情報を更新するには、`l'を使います。 連打して、コンピュータをいじめないように気を付けましょう。

対戦中だと、リストが表示されます。カーソルが左に表示されていますね。 現在カーソルのある行が選択しようとするゲームです。 `n'で下に、`p'で上に移動します。 また、`<'で一番上に、`>'で一番下に移動します。

適当に(いい加減に、ではありません)ゲームを選んだら、`SPC'を押しましょう。

やめたくなったら、`q'を押してください。

ちなみに、`V'でバージョンを表示します。

観戦

上の方にいくつかの重要な情報が表示されています。 右側が先手で、左側が後手です。 モードラインの右の方には、何手目であるかが表示されます。

その下には、盤と持駒が表示されています。 持駒の横に書かれている数字はその駒を持っている数です。 表示されているアルファベットが分からない人は、 用語集 を御覧ください。

`f'で次の手を表示し、`b'で前の手を表示します。 `n'と`p'は、それぞれ、成功した手、つまり、実際に指した手の中で、 次の手、および、前の手を表示します。 `g'で望みの局面を表示することもできます。

`<'は一番最初の局面に戻ります。 `>'は一番最後の局面に進めます。 対局中の場合、現在の局面を表示します。

Emacsでは、エコー領域に表示されたメッセージは簡単に消えてしまうので、 `.'が用意されています。 `.'を押すと、最後に表示されたメッセージが再び表示されます。

画面表示が乱れたときには、`l'を押してください。 これで、画面を書き直します。

終了するには、`q'を押してください。

棋士の情報が欲しいときには、`v'を使います。 これで、先手の情報が得られます。 後手の情報が欲しいときは、`C-u v'とします。

ちなみに、`V'でEmacs-Tuitateのバージョンを表示します。


棋譜閲覧方法

まず、


M-x tuitate-notation

としましょう。上手く行きましたか? 上手く行かない場合、 ついたて将棋のサーバの動いているマシンが別のマシンなのかもしれません。 サーバが別のマシンで動いているなら、

C-u M-x tuitate-notation

としてみましょう。ミニバッファにホスト名を入力してください。 これでもダメなら、多分、サーバが上手く動いていないのでしょう。 `tuitated'のマニュアルを読んで、もう一度試してください。

棋譜の選択

最初の行に、棋譜の数が表示されます。 情報を更新するには、`l'を使います。連打して、コンピュータ をいじめないように気を付けましょう。

棋譜があると、リストが表示されます。 カーソルが左に表示されていますね。 現在カーソルのある行が選択しようとする棋譜です。 `n'で下に、`p'で上に移動します。 また、`<'で一番上に、`>'で一番下に移動します。

適当に(いい加減に、ではありません)棋譜を選んだら、`SPC'を押しましょう。

やめるときは、`q'を使ってください。

ちなみに、`V'でバージョンを表示します。

閲覧

上の方にいくつかの重要な情報が表示されています。 右側が先手で、左側が後手です。 モードラインの右の方には、何手目であるかが表示されます。

その下には、盤と持駒が表示されています。 持駒の横に書かれている数字はその駒を持っている数です。 表示されているアルファベットが分からない人は、 用語集 を御覧ください。

`f'で次の手を表示し、`b'で前の手を表示します。 `n'と`p'は、それぞれ、成功した手、つまり、実際に指した手の中で、 次の手、および、前の手を表示します。 `g'で望みの局面を表示することもできます。

`<'は一番最初の局面に戻ります。 `>'は一番最後の局面に進めます。 対局中の場合、現在の局面を表示します。

Emacsでは、エコー領域に表示されたメッセージは簡単に消えてしまうので、 `.'が用意されています。 `.'を押すと、最後に表示されたメッセージが再び表示されます。

画面表示が乱れたときには、`l'を押してください。 これで、画面を書き直します。

終了するには、`q'を押してください。

棋士の情報が欲しいときには、`v'を使います。 これで、先手の情報が得られます。 後手の情報が欲しいときは、`C-u v'とします。

ちなみに、`V'でEmacs-Tuitateのバージョンを表示します。


設定

設定に関しては、パッケージに含まれているdot.emacsを御覧ください。


今後の展望

元々、このEmacs-Tuitateは、 プロトコルバージョン4に対応したクライアントがまだなく、 AIクライアント (ついたて将棋のコンピュータによる自動対戦クライアント) の開発が思うようにできないがために、開発を開始したものです。 そのため、Emacsクライアントは結局のところ、開発者の補助にすぎず、 ユーザの使い勝手や、見栄えのことはほとんど考えられていません。 もっとも、GNU Emacsでは、この程度が限界だと思いますが。

しかし、ここまで来たからには、 ちゃんと使えるようにしようと思うようになりました。 おそらく大抵のユーザは、表記が英語というだけで敬遠してしまうでしょうが、 それでも、エディタで動くソフトというものは、なかなか捨て難いものがあります。

そこで、今後の野望としては、まず、XEmacsに移植しようと考えています。 私は、現在、XEmacs20に移行しようとしているからです。 もはや、GNU Emacsにはさほど魅力は感じません。 より積極的な姿勢で成長を続けているエディタの方が、 遥かに魅力的に見えます。

また、XEmacsがグラフィックスをバッファに取り込める機能を持っているので、 これを利用して、もっと格好いいクライアントを作りたいと思います。 もっとも、誰からも要望がなければ、Xクライアントもあることだし、やめちゃうかもね。 欲しいと思う人は是非応援の メール を送ってください。


著作権

Emacs-Tuitateは、フリーウェアです。 GNU Public License 2に従って、コードの改変、配布、複製を行うことができます。

このマニュアルの著作権は、著者が保有します。 複製しようが、改変しようが、配布しようが、あなたの勝手です。 ただし、そのために、何らかの被害を被っても、保証はいたしかねます。


作者

作者である私、奥地 秀則について、 ちょっぴり自己顕示欲を満足させるため、だらだら書くことをお許しください。

私は現在、京都大学理学部生物科学系の四回生で、 京大マイコンクラブ(通称、KMC) に所属しています。 専門は分子細胞生物学で、コンピュータとは全く無縁で、 いつも逃避活動を続けている有様です。

大学に入った当時は、私はコンピュータに関しては、全くのド素人でした。 ほんのちょっぴり、N88-BASICで遊んだことがあった程度です。 その状態で、友人にそそのかされて、 京大マイコンクラブを探すことになりました。 ところがどっこい、健康診断の日に大学へ行くと、 ダサい大きな旗を掲げた変なクラブがいるじゃないですか。 その旗に書かれている文字列は、まさしく、「京大マイコソクラブ」だったのです。

それから、コンピュータについて猛勉強しました。 おかげで、今ではそれなりに認められる存在となることができました。 このEmacsクライアントをはじめ、いろんなプログラムを書き、 システムの管理者をやり、人の書いたコードをハックするようになりました。

最近の私は、次のようなことをやってます。

他にも細かい事はいろいろやってますが、専門とは無関係なのは確かです。 Hurdがもう少し安定したら、Hurdの日本語環境の開発に力を貸したいな、 と考えております。

e-mail: okuji@kmc.kyoto-u.ac.jp


用語集

ここでは、Emacs-Tuitateで用いられる英語や表記法に関する説明をします。

盤上に表示されるアルファベットは、駒の名前を一文字で表記したものです。 対応は以下の通り。

p
pawn
l
lance
n
knight
s
silver
g
gold
k
king
b
bishop
r
rook

なお、対戦では、自分の駒は小文字で、相手の駒は大文字で表示されます。 成駒には、両横に`*'が付きます。

観戦や閲覧のときには、先手が小文字で、後手が大文字になります。 成駒には、両横に`*'が付きます。

以下に、英単語とその意味を記します。

pawn
歩兵
lance
香車
knight
桂馬
silver
銀将
gold
金将
king
王将
bishop
角行
rook
飛車
black
先手
white
後手
you
あなた
opponent
相手
name
名前
life
challenge
挑戦
accept
了承
disappear
蒸発
busy
忙しい
refuse
辞退
game
対戦
view
観戦
notation
棋譜
board
piece
turn
手番
check
王手
drop
打つ
move
動かす
promote
成る
checkmate
詰み
losing life
死亡
giving up
投了
emergency
緊急事態
draw game
引き分け
win
勝利
jumping over
飛び越し
violation
失敗


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